島根に越してくる前、「昔より雪は減ったよ」と聞いていた。だから、そんなに心配していなかった。
転居前に暮らしていた関西の某地域では、学生時代は3、4年に1回くらい。
社会人になってからは「降ったな〜」と言う記憶はほとんどない。
奇跡的に降ってうっすら積もって、朝ベランダから見た景色が「真っ白だ〜!」とウキウキ。
だけど、昼前には溶けて茶色くドロドロになって、奇跡的な景色はあっという間に元通りになるのだ。
もちろん、子が生まれてからも降っていない。
島根で初めての雪の体験になるかもしれないな・・・と思っていた。
島根に行く前は、雪が多少降ったとしても「まあ、何とかなるだろう」とそんなに心配はしていなかった。
雨も多いと聞いていたので、撥水加工がされているショートブーツやコートを買い足し、子には「雪遊びができたらいいな」くらいの思いで、スノーパンツとジャケットに手袋を準備していた。
園までのいつもの道が真っ白な雪景色になっているのを初めてみた時、子は雪を手に取って丸めてみたり、長靴で踏み締めて、白い息を吐きながらその感覚を楽しんでいた。
そんな様子を見て、私も何だかウキウキしていた。
園の荷物をたくさん持っていたせいか、すれ違った人に「おはようございます。大変ですね。」と声を掛けてくれた。
ちょっとした挨拶だけど、心が和んだ。
雪が積もると、自転車なんて全く役に立たないことがよーーーく分かった。
むしろ乗る方が危ないし、つれてこないほうがいい。
園までの片道約1.5kmを歩いて子を園に送り届け、職場に向かう頃には遅刻が心配になって早歩きになってしまい、うっすら汗ばんできた。
慎重に進む自動車の列を横目に、歩道の雪が1日でも早く溶けることを願いながら、ひたすら歩き続けた。
職場では徒歩で行き来していることが知れ渡ると、口々にみんな「大変だね」「大丈夫なの?」と心配されてしまった。
ペーパードライバー講習にも行き、近場の銀行まわりなら何とか運転できるようになってきた。
でも、子を乗せて雪道を走るとなるとまったく別の話だ。とてもハードルが高いことのように感じる。
残業になってしまい、タクシーで園に向かおうと何社もタクシー会社に電話してみたが「ちょっと、向かうことはできないですね」「今は近くに車がありませんね」と呼ぶことができなかった。
この地域はタクシー自体が少ない上に、運転手も人手不足。
都市部で見かける、流しのタクシーなんて走ってない。
特に悪天候の日は、駅前のタクシー乗り場に行かないと乗れないと親戚が言っていたことを思い出した。
「いつでも乗れると思っていたけど、ここでは無理なんだ」と静かに、でも確実に思い知らされた。
初めての経験で怖いなと思ったのは、雪が凍ってツルツルになったところを歩くことだ。
凍っていると気づかずに足を踏み入れると、どんなに気をつけていても転んでしまうことだ。
車道は雪が溶けるのは早いが、歩道は人が少ないのでいつまでも雪や氷が残っていて本当に歩きづらかった。
子は雪を踏みながら歩くのが楽しかったらしく、ありがたい事にどんどん歩いてくれた。
子どもがまだよちよち歩きだった頃に引っ越していたら、もっと時間がかかったかもしれない。
歩いている私たちの横を、車が列をなしてゆっくりゆっくり細心の注意を払って進んでいく。
正直、歩いている私たちの方が早いくらいだ。
ペーパードライバーの私から見れば、雪の中運転できる技術を持ってる人たちには尊敬しかない。
この冬で、雪が降る地域への思い込みが全部ひっくり返された感覚だ。
だけど、次住むならカーシェアポートやレンタカーが徒歩圏内にある場所に住むべきだな、と住みたい場所の条件の一つが定まったのは良かった点だ。
自転車の空気入れすら面倒と感じる私にとって、給油や車検や洗車が必要な自動車を所持することはまだまだハードルが高いのだ。
次の冬の雪道の運転はきっと大変だろうけど、少しは準備できると思う。
それでも、やっぱりまだ怖い。
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