島根に越してきて、最初に戸惑ったのは保育園のことだった。
働きたい。でも、娘に寂しい思いをさせたくない。
その間でずっと揺れていた。
転居前の大阪では、保育園は建物の中にあるのが当たり前だと思っていた。
島根に来て驚いたのは、まず敷地の広さだ。駐車場もしっかりあって、廊下も広い。
娘は引っ越してから、急になわとびができるようになった。広い廊下で毎日練習できたからだと思う。
先生との挨拶が「お疲れ様です」なのも、最初は少し不思議な感じがした。でも今は、その言葉がじんわりありがたい。
平日の幼稚園には、割とすぐ馴染んだ。でも問題は週末だった。
幼稚園は土日祝は預かってもらえない。それを補う形で、一時預かりの保育園に週末は預けていた。
連れて行こうとするたびに、娘は言った。「まだ慣れてないから、早く迎えにきて」「給食を食べたら、どこに片付けたらいいか分からないから——給食は食べない」。
泣いてわめくわけじゃない。でも、その小さな理由たちがひとつひとつ刺さった。
もう一つきつかったのは、荷物だった。大阪の保育園はコットのパッドを運ぶだけでよかった。島根では、お昼寝用のお布団が必要だ。平日に幼稚園で使ったお布団を、雨の日も風の日も自転車で運ぶ。それが正直、しんどかった。
職場の先輩、幼稚園、一時預かりの保育園——いろんな人に助けてもらいながら、何とか繋いでいた。
娘も、私も、それぞれの場所で少しずつ慣れていくしかなかった。
「働きたい」と「娘に寂しい思いをさせたくない」の間で、ずっと葛藤していた。
どちらかを選べる話じゃないのはわかっていた。でも、割り切れなかった。
保育園に転園できたとき、また転園させてしまうことへの申し訳なさと、タスクがひとつにまとまる安堵が、同時にやってきた。
今は土日祝も預かってくれる保育園に落ち着いた。
家の外では頑張り屋さんの娘を見ながら、私も体調を崩さないよう、静かに働いている。
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